今年は、気の早い桜が早々に葉桜となりつつありますが、山菜もいつもより少し早いようですね。
フキノトウ、菜の花、セリ、ワラビ、ぜんまい、タラの芽、タケノコ、フキ・・・春は山菜の季節です。
実は、私自身、山菜が大好きなのですが、ありがたいことになかなかの田舎に住んでいますので、頂き物で春を満喫しています。
皆さんはご存知でした?そこら辺の山に自生している山菜、勝手に採集したら窃盗罪に問われるんですよ。
最近、80歳を超える近所のお年寄りから、ちょっと気になることを聞きました。
この方、ご自分の山を持っていて、春にはワラビやフキ、タラの芽などのおすそ分けを下さるのだけど、去年、憮然とした顔でやってきて、「フキがない」と言いました。
フキが生えている沢には、根っこが散らばっており、どうやら誰かが根こそぎ採っていったらしい。
フキは食べられるところだけ折り取っていけば、来年また楽しめます。でも、根こそぎ引っこ抜いてから、食べられる部分だけを切り取り、根っこを捨てていく人がいるらしいのです。こうなれば来年はもう生えてきません。
都会の奴らは、山に持ち主がいることも、山菜の取り方も知らん。 聞いてみれば、ワサビやシイタケまで採っていく人がいるとか。 う~~ん、ワサビやシイタケは、一目見たら栽培しているってわかると思うんだけど、動物なんじゃないですか?と聞くと、現場を押さえた事例を山ほど教えてくださいました。「自生していると思ったんです」「山に持ち主がいるなんて考えてもみませんでした」「入れないように柵でもしておけばいいだろう」などなど、多くの人が、少しくらい分けてくれてもいいだろう、という気持ちをにじませるらしいです。 中には逃げ出す人もいるそうで、びっくりしました。
もっと驚いたのが、やって来るのは、右も左もわからない若造ではなく、孫のいるような年代の人ばかりだということです。その昔、山菜摘みを楽しんだ経験を思い出して、やって来るのでしょうか。
やせた、険しい土地で、商売にできるほど収穫は見込めないので、皆さん自分たちが食べる分と、親しい方へのおすそ分けの分だけを採集している感じなので、ある意味、商売で栽培している人より、ずっと楽しみにしているんですよね。
「そういうわけで、申し訳ない、今年は分けてあげられるフキがないんだよ」と謝ってくれるおじいさんを見ていたら、何だか本当に気の毒になりました。
このおじさん、昨年、警察に相談に行ったそうです。 「それは窃盗です。許せない、すぐに通報しなさい。持ち主がいるなんて知らなかった?ごめんなさいで済めば警察はいらないんです」と言われたそうです。
そう、自生している植物はその土地の所有者のものなんですよ。栽培しているものではなくても、です。
先日似たような山菜問題が新聞に出ていて、山の住民と都市部の住民、双方の言い分が載っていましたが、80歳過ぎのフキのおじさんは、分けてほしい人は電話ください、と看板を立てとけばよかった、と言っていました。(でもおじさんの山、広すぎだよ?どこに看板置くの?)
そう、どうせ食べきれない量がいっぺんに芽吹くのです。欲しい人には分けてあげたいんですよ。でも、売るほどたくさんあるわけでもないから、自分が食べる分まで持って行かれたり、絶滅するような採り方はやめてほしい、ということなんですよね。
欲しい人がいる。あげたい人がいる。一定のルールをもってマッチングできたらみんなハッピーなんですけどね。
繰り返しますが、山に自生しているものを勝手に持って帰れば窃盗です。 どの山が誰のものわからないところで山菜採集はやめておいた方がいいですよ。 国有林などではもう少しルールは緩いですが、植物が来年復活できないよう採り方(根っこから抜く、木を切るなど)をすれば同様に罪に問われます。ちなみに道路に落ちている木の実などは大丈夫だそうです。