田舎で介護生活

私自身、かなりの田舎で暮らしていますが、2年ほど前から配慮が必要になっていた義父の認知症が、ここ一年で急速に進みました。

最近、全くブログの更新ができなかった原因の一つでもあります。

義父の認知症介護の様子から、田舎での介護について考える機会が増えました。

今では、自宅の間取りもすっかり忘れ、家の中で迷子になるし、そもそも自宅にいることすら理解できていないこともある義父。

「○○が欲しい」など、具体的な会話はできますが、抽象的なことは全く文章が組み立てられなくなりました。

義母の後追いが激しく、姿が見えないと探し回り、当然外に出れば徘徊となります。

なので、義母は外出もできず、一日中、義父のよく理解できない話に付き合い、シモの世話を含め生活の面倒をみています。

私たちも手伝いたいのですが、義父は義母以外の家族から世話をされるのを嫌がるんです。

では、それ以外の家事を一手に引き受けようかと申し出ても「家事をする時間は大手を振って義父と離れられる時間だから、取り上げないで」と言われてしまう。

さすがにデイサービスは利用し始めましたが、このままでは、義母が寿命を縮めてしまうし、義母が戦線離脱したため、自営業の方もいっぱいいっぱいで回しています。

田舎での介護の実情

配偶者の後追いからの徘徊は、よくあることだそうです。でも、山間地域のこの辺りでは、昔から徘徊して山に入る高齢者が多く、そうなると絶望的な結果しか待っていません。服や靴に名札を付けることは、それほど有効な対策にならないのです。

そんなに無理しなくても、福祉の手を借りればいいじゃない。

ほとんどの人がそう言うと思うし、私もそう思います。なぜに、そんなに頑張る??

でも、周りの話を聞くと、本人が嫌がる、人様や親族の目が気になる、などの理由からギリギリまで自宅で頑張る配偶者が何と多いことか。

義母の時代はさんざん「〇〇さんトコは、かわいそうに年寄りを老人ホームに入れたって。」みたいな話を聞いて来たから、その呪縛から抜け出せないのでしょう。濃密な人間関係に起因する呪縛です。

実際には、今時そんなことをいう人はあまりいないんですけどね。

また、施設も都会のようによりどりみどりというわけにはいきませんので、通える範囲で探すとなると、地元施設の空き部屋を待たなければなりません。

実際、ウチも、申し込みしてから10か月。まだ部屋が空いたとの連絡はありません。

入居できるまでのつなぎに介護保険を使ってヘルパーさんを頼もうとしたところ、あまりに町の奥地で道が悪いため、引き受けてくれるヘルパーさんがいない、という話も聞いたことがあります。

確かに、車の運転に自信がない女性が一人で行くのは怖いだろうな、と思います。1時間半を超える往復の移動時間に時給がつかないこともあると思います。

これって、法律違反じゃないの?って思いますよね。せっせと介護保険料を払ってきて、いざ利用しようと思ったら来てくれない。代替案を提示してくれたりするようですが、承服できる内容ではなかったりするようです。

ただ、過疎化が激しい地域では、介護施設自体、スタッフ不足とスタッフの高齢化が激しく、何とかしたくてもどうしようもないようです。本意ではない代替案でも、取り急ぎ受け入れるしかない、ということも少なくないかもしれません。

よく聞きますが、介護保険制度自体が不完全すぎるのです。

介護サービスが必要になり、適切なサービスが受けられるまで、右から左へとするする対応してもらえないこともあり、都市部より大きなタイムラグがあると考えた方がいいと思います。その間、家族による介護で支えなければならないケースがとても多いのが実情です。

都市部では近隣の住民の支援はほとんど期待できないかもしれませんが、田舎では、普通にご近所づきあいをしていれば、困ったとき力になってくれると思います。ただし、近隣住民の母数が少ないし、近隣住民も高齢者ですので、まあ、あまり期待しない方がいいですよね。

日本の過疎地域は、どこも枯れ木が枯れ木を支える構図になっていますので、少し無理な力が掛かれば、支えている枯れ木が先にぽきりと折れるのです。

田舎への移住計画時に考えておくこと

熟年世代の田舎への移住はよく聞く話ですが、田舎を終の棲家として検討しているのであれば、この辺りのことも考えておく必要があると思います。

このまま過疎化が進めば、20年後、あなたを支えてくれる近隣住民はほとんどいないかもしれないという事実は、決して軽視すべきではありません。

何だか、熟年移住の魅力が急に色あせたように感じるかもしれませんが、そうじゃないですよ。

70代前半くらいまでを「若い人」と呼んで、頼りにしている田舎では、定年退職者にもたくさんの活躍の場があるし、これからの時代、通信回線さえ確保できれば、続々と便利なサービスが田舎の不便を補完してくれると思いますからね。

ただ、お金だけでは解決できない問題を抱えているのが田舎ですので、いざとなったらどうするのかは、事前に考えて調べておくといいと思いますよ。

あまり気負わず、10年くらいでもいいから、一度は田舎暮らしをしてみたい、という肩の力を抜いた考え方もいいかもしれませんね(^_^)

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