先日、IT、ICT、AI、IoTなど、カタカナの最新技術のことがわからないと生活していけなくなるのか?対応するためにスマホくらいは今から持った方がいいのか?ということについて、「これからの社会、シニアもスマホは必要か?」という記事に書きました。
ざっくりした話しかしませんでしたので、もう少し問題を身近に引き寄せて考えてみたいと思います。
こういう話、実は自分自身、好きではないんです。
近い将来、年を取ったら、畑を耕し、近所の人と交流し、たまには都会の風も感じて・・・と、都会の利便性より、不便でも人とのつながりを大事に、自然と共生するような生き方をしたい、とイメージしていたので、そのイメージにICTやAIはそぐわない気がするのです。
でも、先日の記事で紹介したように、総務省が「IT民生委員」の制度を作り、ITを扱えない高齢者が困らないようにする、と発表しているということは、否応なく、社会はカタカナ方面に向かって突き進むわけですよね?
これまであったものがなくなるケースだと、どう不便になるのか想像しやすいのですが、これまで使っていなかったものを使わなくてはならない場合は、どう不便になるか、想像しにくいですよね?
どう困るの?
しゃべる電子レンジも冷蔵庫も別に欲しくない。ネットショッピングも使うつもりもないし、メールも不要。家事ロボットが発売されたとしてもどうせ高価で買えない。困ることなんてないと思うんですが、実は大ありなんですよね。
銀行を例にとって考えてみましょう。
現在は、窓口でもATMでも振り込みや入金、引き出しができます。ネットバンキングという新しい仕組みを活用して、自宅にいながら残高照会や振り込みをすることもできます。
これが、「今後はATMとネットバンキングしか使えません」となるかもしれないのです。
実際に東京税中の友人宅から一番近い銀行の支店は、すでにATMしか置かれていないそうです。
税金の申告、役所への必要書類の申請、荷物の集配、旅行の手配などなど、生活のあらゆる面で、「窓口」という選択肢が消えていくとしたら?
不明な点を問い合わせると、「ガイダンスに沿ってお問い合わせの番号を押してください」という自動応答システムののちに、「どの番号にも該当しない場合は、問題解決ロボットににおつなぎします」などと言われたら・・・。
こうなると、ITやAIと無縁の生活を送っている人が多い高齢者やプレシニアにとって、大事件です。
5~10年先にはなくなる職業
郵便局がドローンでの配達が実証実験の段階に入っており、数年後には郵便配達員が消える、という見込みだそうですよね。ヤマト運輸では「ロボネコヤマト」なる無人配達自動車の実証実験がされています。 車の自動運転技術向上で、車を持つ時代から呼ぶ時代になる、との予想もされています。 配達の仕事やバスやタクシーの運転手さん、どうなるんでしょう。
ネットで検索するとたくさんのサイトで話題にされていますが、5~10年でなくなると考えられている職業が山ほどあるということを、よ~く考える必要があります。
時代の変化とともに、社会に必要とされなくなり消える職種も、もちろんあります。それに加え、人間の代わりにAIがこなすようになるから、人間が「採用」してもらえなくなるという職種もたくさんあるのです。その代表格が先に紹介した「配達」の仕事です。
無人の自動車からどうやって自分の荷物だけ取り出すのでしょう? これは、消費者である私たちが、何かを買ったりサービスを受けるとき、AIやインターネットなど、何かしら機械的なものを窓口にしなくちゃいけなくなることを意味しますよね。 少なくとも、近い将来、そういうケースが非常に多くなる、と考えたほうがよさそうです。
5~10年と言えば、現在の中学生や高校生は、よくよく考えて自分の進路を決めないといけない、ということです。そんなに先の話ではないですね。
どうすればいいの?
正直に言えば、未来のことなんてわかりません、というのが本音です。人様にアドバイスできるほど経済や最新事情に詳しくないから、なおさらです。でも、自分自身が心掛けていることはあります。
・IT環境を整える
昔契約したまま見直したことなど一度もなかったインターネットの固定回線を見直しました。昔のADSL回線のまま放っておいていたのです。あとは、家族の携帯をスマホに変えました。両方とも、そのうちそのうち、と後回しにしていたことです。・・・結果、便利で安く、快適になりました。
・クレジットカードを使う癖をつける
クレジットカードのほうがレジがスムーズだし、ポイントが付くのはわかっていても、現金払いが大好きでした。目に見えるものにしか価値を感じられない「昭和の田舎者」の特徴なのかもしれませんが、この、現金第一主義を払拭しないとまずい気がしたのです。家計簿をつけるのが嫌なので、1か月後まで支払金額がわからないクレジット払いが不安だったこともあります。デビットカードやおサイフケータイなどの仕組みも同様に感じていました。
使い始めたら、すごく便利だし、ポイントも有効に活用できています。銀行に駆け込む回数もめっきり減り、財布の中身を気に掛ける心理的負担も減りました。長年の主婦としてのキャリアがあるので、きちんとした金銭感覚も身についているようで、使いすぎることもありませんが、一応、簡単な小遣い帳的な家計簿をつけるようになりました。
目に見えない「お金」で支払いをすることに自信がついてきたので、今度はネットバンクやスマホ決済などにも挑戦してみようと考えています。
・ネットニュースを見る
TVニュースはチャンネルさえつけていれば、最新ニュースをまんべんなく知ることができますが、ネットニュースはカテゴリーを選んで、その分野に特化した詳細なニュースが見られます。なので、ヒマつぶし程度にはネット関連や、最新技術に関するニュースも見るようにしています。
・若い友人と積極的にかかわる
スマホをいじっているときなど何してるのか聞くと、いろいろ教えてもらえます。すすめられたことはやってみることにしています。無料のLINEスタンプの取り方やデータのクラウド管理を始め、技術的にも詳しくなれるし、何より、若い人たちとの感覚の違いを実感できます。
・ネットに関する防犯などの活動をする団体に参加する
実は、これを始めてから、本当にいろいろなことがよくわかるようになりました。初めはちょっとした講座などに参加するだけでしたが、お礼になるべくイベントのお手伝いなどをするようになってからは、運営する人たちと仲良くなり、さらにいろいろ教えていただいています。
やたらに新しいものに飛びつくのも危険だけど、何もかも危険に感じて尻込みするのも損。危険のありかや見分け方がだんだん理解できるようになってきている気がします。
右も左もわからない中高年には、やはり何らかのサポートがないと、独学では時間がかかります。こういう団体さんは強い味方ですので、小さいけれど熱心に活動している団体さんを選ぶといいと思います。私がお世話になっているのは、主に子供や子育て世代向けの活動をしている団体さんですが、不都合はありません。活動の対象より、活動している人たちと気が合うかどうかの方が大事だと思います。支払う2000円の年会費より、たくさんの知識と楽しみを得ていると感じています。
よくわからないながらも、新しい技術に関連することで、これはやったほうがいいかな、できそうかな、と思うことは面倒でもやってみることにしています。
小さなことですが、窓口と機械(IT)の選択があれば、なるべく機械(IT)を選ぶとか。
脳や体は衰える
いつ、どんな世の中になるのかよくわからないにしても、一つだけはっきりしているのは、先送りにすればするほど、脳が衰えてから対処しなければならなくなる、ということです。
ひと昔前、「洗濯機などできれいになるはずがない」と頑固に言い張るお姑さんやおばあちゃんは、実は洗濯機でも十分汚れが落ちると分かると、さぞかしがっかりして、自分が役立たずになったように思ったことでしょう。「電報?何言ってんの、電話すればいいでしょ?かけ方わからないの?いいよ、私がかけるから」なんて会話もあったかもしれません。
自分がコントロールできることが大幅に減ってしまうと、気力も萎えるのは当然だと思います。老け込みますよね。
本当のICT社会の到来が30年後だったとしても、今から心掛けることで別に実害があるわけでもないので、今から楽しみながら新しいことをゆっくりと学んで行こうと思っています。「ああ、この年になっても、新しく学ばなきゃ、と思えることに出会えてよかった」と、考え方を変えれば、結構楽しめるかもしれませんよ。
もしかしたら、これからの「ぴんぴんころり」の条件に、ITの知識が加わる日も近いのかもしれません。