最近は、価値観が多様化していて、田舎暮らしにあこがれる人も結構いますよね。
旅行で訪れたのどかな田舎に一目ぼれして、ここに住みたい!と思うこともあるかもしれません。
都会のあわただしく世知辛い生活に疲れ、田畑を耕し、四季折々の自然を肌で感じ、人間らしく暮らしたい・・・
でも、目に見える風景や、旅行者として訪れた自分を歓待してくれた住民の姿が、暮らしのすべてではありませんよね。
あこがれだけで、田舎に引っ越すと、想像と違う!ということになりかねません。
目に見えない部分の念入りなリサーチは必須です。
どんなリサーチが必要か
1. 通信環境
これから移住を考えている場合、これは必須です。田舎は光回線どころか、携帯回線さえ届かないところもあります。スマホやPCがあれば、自宅に居ながらにして必要な物やサービスが得られますが、これがないと固定回線頼みという昭和の生活が待っています。
ましてや、政府がキャッシュレスや通信技術の積極的活用を後押ししている近年、通信環境が整っているかどうかは、かなり重要な条件になってくるはずです。
2. 公共交通網
どこの田舎も車社会です。公共交通網はどうなっていますか?車が運転できるうちはいいのですが、運転に自信がなくなってきた高齢者が、交通網の不完全な田舎で買い物難民になったり、必要な医療が十分に受けられなくなっています。田舎ではタクシー会社がなかったり、あっても夜間は営業していなかったりします。「移動手段」のリサーチは重要です。
3. 電気、水道などのインフラは?
田舎では、小型の発電機を備えている家が多い地域もあります。台風、大雨、雪などで、ちょくちょく断水や停電が起こる地域も多くあるのです。特に山間地域ですね。また、水道も、集落で管理する簡易水道のところもあり、この場合、交代で水源の管理が必要になります。また、もっと山奥になると、家ごとに水源を確保していて、自分で管理をする必要があることも。
4. 住居環境は?
安い家が買えた!と喜んでいると、災害危険区域で立て直し不可能な場所だってこともあります。また、実はもともと沼地で地盤が悪いなど、地元の人しか知らない不利な条件があったりします。古民家、といえば聞こえはいいですが、修繕のために専門家を入れたら土台に問題があり、思わぬ出費を強いられることも。蔵も要注意です。土壁がはがれ始めているような蔵がついていると、修理にも解体にも莫大な費用が掛かり、負債以外の何物でもありません。
できることなら、賃貸で一定期間試しに住んでみるのが一番いいと思います。
5. サポート体制は?
移住者支援体制は、役場を上げて積極的に手伝ってくれるところから、ほったらかしのところまで地域によってまちまちです。また、NPOなどで、支援体制が整っているところもあります。移住者対象のお試し住宅などの用意がある地域もありますから、活用するといいと思います。
6. 都会なら普通にあるものがない
ガソリンスタンド、電気屋さん、衣料品店など、地域内にあるべきものがない!ということは田舎にはたくさんあります。どんなお店やサービスがあるか、必ず確認しましょう。ガソリンスタンドがないなんて、どうやって灯油やガソリンを手に入れてるの?などの情報収集もお忘れなく。
7. 仕事はあるのか
たとえ、熟年移住であっても、仕事はしたいと考える人は多いと思います。田舎では、仕事は少ないのが普通。でも、不定期の拾い仕事やシルバー人材センターへの登録などはできますので、調べておくといいと思います。田舎では、深刻な人材不足から、シルバー人材といいながら、もっと若い人でも登録できる地域もありますよ。
ただし、一家の大黒柱としての収入を確保できる職場を探すのは大変です。
8.教育、医療、福祉は?
学校は普通小規模校でしょうが、統廃合の危機真っただ中、という地域もあります。診療所も、医師の年齢や跡継ぎの有無によっては移住後まもなく廃業ということも。福祉も、制度はあるが人材不足で十分なサービスが受けられない地域もあります。この先、どれくらい住む予定なのかによっては、少し深堀したリサーチが必要なところです。
ネット全盛の時代とはいえ、必ず現地調査をした方がいいですよ。生の声に勝るものはありません。
それでもそこに住む人がいる
不便山盛りの田舎であっても、そこに暮らす人たちはいます。不便をどう解消しているか、を知ることは大事ですよね。
住み続ける人がいるのは、いいところがあるから。地元の人が、どうしてそこに住み続けているのかを知ることも大切だと思います。
実際、田舎に住む身としては、悪くない暮らしだと思っています。今時、一歩も地域から出ずに暮らすということもないので、適度に文明の恩恵を受けながらのんびり暮らしております。